「WEB民主主義」考


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

・・・「適切な状況の下では、人々の集団こそが、世の中で最も優れた個人よりも優れた判断を下すことがある」というテーマを追求した刺激的な本である。
〈中略〉
・・・「個」が十分に分散していて、しかも多様性と独立性が担保されているとき、そんな無数の「個」の意見を集約するシステムがうまくできれば、集団としての価値判断のほうが正しくなる可能性がある。そのとき、多様な意見の存在を意識的に肯定すべきで、参加者間のコミュニケーションはほどほどの情報交換程度がよく、議論しすぎることで他者の影響、特に特定個人の強い影響を受けないほうがいい。

ウェブ進化論』p.205-206


★勝手に抜書きしておいて失礼だが、梅田氏のようなWEBに対する楽観主義者が主流派になりつつあるからこそ、一方で『〈私〉時代のデモクラシー』のような本もよく売れているんだろうな・・・。

〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)

〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)

 デモクラシーは万能ではありません。デモクラシーが出す答えがつねに正しいとは限らないという批判は、ほとんどデモクラシーが誕生して以来、たえず投げかけられてきたものです。しかしながら、本書では、あえて主張したいと思います。デモクラシーは「正しい答え」が見つからないからこそ必要なのだ、と。

p.xi

★たとえ、機械的に『無数の「個」の意見を集約するシステム』を構築したとしても、結果として必ずしも『集団としての価値判断のほうが正しくなる可能性がある』わけではないのではないか。むしろ、『デモクラシーは「正しい答え」が見つからないからこそ必要なのだ」とする宇野氏の意見に私は賛成する。