「農業ブーム」にあえて水を差す!


農業をビジネスとして捉えようという意見を最近よく目にするようになりました。

曰く、〝守る〟のではなく、〝攻める〟農業へ−。
生産性をあげて国際競争にも勝てる儲かる産業にすべき−。
保護し続けたことで日本の農業はかえって弱体化してしまった−。
やる気のない農家はいらない−。
諸悪の根源〝農協〟を解体せよ−。
etc.

これらの主張は、それぞれに一理あり、刺激的です。
しかし、どこか不安を覚えます。
それは、日本人の心の故郷としての農村がなくなることに寂しさを覚えるからなのか、農業は効率や生産性を超えた生産者の〝思い〟みたいなものが必要なのではないかと漠然と感じるからなのか・・・。
はたまた、規模を拡大し生産性を上げようとすれば、人件費は相当安くせざるをえず、農業従事者の派遣社員化が進み、冗談じゃなく奴隷労働を強いられる人が現れたりするんじゃないかと想像してしまうからなのか・・・。
実際、農協関係者から聞いた話では、野菜の収穫など重労働を伴う作業には日本人が集まらず、アジアからの研修生をタダ同然で働かせているケースは珍しくないといいます。
日本の食糧自給率はカロリーベースで40%と言うけれども、労働力で考えた場合、いったい何%になるのやら・・・。

ともかく、「日本の農業を強くする!」とは、まったくもって正論だけれども、いろんな観点から議論を深める必要があるように思います。