憲法九条は大丈夫か?!

5月19日(土)、藤沢市民会館小ホールで開催された「ふじさわ・九条の会」2周年集会に参加。

主催者発表によると、参加者は406名。ほぼ満席と盛況だったが、参加者の極端な高齢化に驚いた。私が観察した限りでは、30代ぐらいまでの青年層ですら10人いなかったのではないだろうか。

多数を占めているのは60代以上。印象的には70代が最も多かったように感じる。ちなみに、事務局長の斎藤隆夫さんも71歳。そもそも、九条の会を立ち上げたお歴々も年季の入った方ばかりではある。

それにしても、憲法改正に対する若者の反応の鈍さは想像以上だ。 巷で言われているように、彼らの多数は改憲に賛成なのだろうか?国民投票法で選挙権者が18歳以上に下げられようとしている中で、若年層の動向は無視できない。

不安なことばかり書いてしまったが、会合の内容は非常に充実していた。

講演は、経済同友会終身幹事の品川正治氏。

中国戦線で一兵卒として戦ったご自身の戦争体験。日本国憲法第九条を初めて読んだ時の感激。小泉政権が断行した構造改革が、いかに日本社会をメチャクチャにしたか。戦争がいかに社会を変質させるか。日米の価値観は決して同じではない、そのことを声を大にして叫ぶことが日米関係を変え、ひいては世界史的意味を持つ。今こそ国民の出番。改憲にNO!と叫ぶこと、そして九条を堅持することが流れを変えるはずだ・・・。

経済界を引っ張ってきた人物から、このような話が出てくるとは正直考えていなかっただけに非常に新鮮だった。

第二部はウクライナ出身の女性歌手、ナターシャ・グジーさんのコンサート。これまた、心に染みた。

ナターシャさんは20年前、6歳の時にチェルノブイリ原発事故で被曝。故郷の森も住まいも全て、文字通り埋葬された。(放射能汚染処理で森は伐採され、住まいは壊され土を被せて埋められたと言う。)

失った故郷への思い、現在は離れて暮らす家族への愛・・・。

未曾有の悲劇を体験しながらも、生きることの喜びに満ち溢れている彼女の唄声に心が震えた。品川さんの講演の余韻もあって、人間が当たり前に平穏に暮らしていくことのありがたさ、幸せというものを噛みしめることができた。

改憲に賛同する人の口から、よく『平和ボケ』という言葉を耳にする。

北朝鮮が攻めてきたら、どうするんだ!」「憲法九条で人命が守れるのか!」「九条など理想論にすぎない。」 そうした九条批判の締めくくりが、「九条を守ろうなんて言ってる奴らは、『平和ボケ』しているにすぎない!」だ。

しかし、『平和ボケ』という言葉は、そっくりそのまま改憲論者にお返ししたい。 戦争の悲惨さを知らないからこそ、「日本も戦争ができる普通の国になるべきだ」などと言えるのではないか?平和そのものの時代を生きているからこそ、勇ましいことを言えるのではないか?

過剰な危機意識を煽る政権に翻弄されず、今一度、冷静に考えて欲しい。

最後に、九条の会に一言。 私自身、憲法九条の理想には大いに賛同しているが、やはり自衛隊の存在をどう考えるのか?日米安保をどうするのか?について明確な答え、スタンスを確立しなければ国民的支持は得られないのではないか。

非常に困難な問題だが、避けては通れない緊急かつ重要課題だと思う。