チェチェンにおけるロシア駐留軍の軍紀の乱れ


文明の衝突から対話へ (岩波現代文庫)

文明の衝突から対話へ (岩波現代文庫)



 今さらながらではあるが、2004年に取材でチェチェンに行った時に知りえた情報を裏づける資料を発見。
 2004年当時、チェチェン内で深刻な問題になっていたのは、「行方不明者の急増」だった。チェチェンでは、行方不明者の家族へのインタビューから行方不明事件に関わっているのはロシア軍関係者に加えて現地のチェチェン人(カディーロフ一派?)らしいとの証言を、モスクワでは、元大尉と兵士へのインタビューからロシア軍内部の腐敗ぶりについて証言を得た。
 この本に書かれている内容は、当時、現地で見聞きした情報と見事に合致する。
 あの取材から6年が経った。チェチェンは今、どうなっているだろうか?

 チェチェン問題であらわになったのは、ロシアの軍隊の腐敗や指揮の弛緩であった。チェチェンに展開した北カフカースの正規軍の地上部隊には、1995年1月から一年以上も給料が支払われなかった。これと対照的なのは、連邦保安局や内務省の戦闘部隊に対する優遇である。

p.45-46

・・・さらに深刻なのは、部隊において犯罪が増加したことである。左の表*1からも分かるように、部隊の無秩序、暴力沙汰、規律の欠如などが目立っている。実際の戦闘がないところで緊張感を欠くために犯罪が多発するというが、それだけが理由ではないだろう。給与の欠配や遅配なども犯罪を促す要因となったことは明らかである。

p.47-48


関連情報:Blog「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2004/03/post_10.html

*1:チェチェンにおける連邦軍部隊の犯罪と軍紀違反《上の写真参照》