『ヤフー・トピックスの作り方』抜書き


 意外や意外、けっして浮ついた内容ではない。
 ネット言論、ネット時代のジャーナリズムを考える上でも参考になった。


ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

ネット上の記事の劣化

・・・戸別配達制度を持たないインターネット専業でニュースを提供している新興の報道機関は、記事をお金に変える手段として広告収入に大きく依存しているわけですから、よほど高い意識や志を持たなければ、その編集方針や記事の品質は、いつの間にかアクセス数偏重=ビジネス偏重によって骨抜きにされてしまう恐れがあります。
 いや、恐れを持っているというより、すでに記事の品質の劣化は、利益を最大化するための「閲覧数の最大化」と「コストカット」の両面から始まっていて、ブレーキがかけられない状態に来ていると言った方が正しいかもしれません。

p.134

コンテンツ泥棒

 テッククランチというアメリカのブログサイトが09年12月に掲載した記事「手作りコンテンツの周縁」は、ともすると日本のニュースの将来を暗示するような内容でした。
 アメリカでは、人の書いた記事を適当に手直しし、参考にした元サイトにリンクをはるならまだしも、自分が書いた記事かのように扱う「コンテンツ泥棒」が横行しているというのです。この手口だと、独自に取材を積み重ねるための記者を雇うよりもずっと安くつくため、「取材したもの負け」の状態を作り出してしまいます。このような懸念から、「安かろう悪かろうを極限まで推し進めるレースが始まっている。ここではコンテンツの品質に少しでもこだわる者は敗者となる」と指摘しました。

p.142

ジャンクフード・コンテンツの方が読まれるという現実

 私を悩ませるのは、こうしたジャンクフード・コンテンツの方が、伝統的なニュースよりも読まれる傾向にあるということです。このことは、閲覧数で成立するビジネスとの相性の良さから、今後もニュースの質と量に影響を与え続ける可能性があります。無料で読める良質なニュースがインターネットから消えるのではないか?

p.144

★既存の報道機関からの配信に依存してきたyahooニュースそのものにも、ニュースの品質が劣化してしまった責任の一端はあるのではないか?