農地転用に関する農水省の実態調査

 優良農地転用の抜け道に利用されているとして問題になっている「27号計画」に関して、2007年に日本商工会議所農水省に実態調査を要望*1。その調査結果を農水省は公開していることがわかった。
農業振興地域及び農業振興地域整備計画の概況
「地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画」(27号計画)の取組みの状況(平成18年度)
「地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画」(27号計画)の取組みの状況(平成19年度)

 いずれの調査結果も、転用された農地面積は300ha以下。日本の総農地面積=約450万haからすると、微々たるものではある。しかし、農業振興を目的に作られた法律を根拠に、これだけの農地が転用されていることは正当化できるものなのだろうか?実態調査を要望した日本商工会議所は「農地転用等を伴う大型集客施設の立地などの無秩序な郊外開発が中心市街地の衰退をもたらす一因」となっているとして、2009年2月19日付で再度、要望書を提出している。


 一方、東京新聞の3/8付の記事に関して、翌日(3/9)、井出農水事務次官が会見で記者の質問に応えている*2。しかし、どこの新聞社の記者が質問しているのか、どうも質問の切れ味が悪い・・・。ともかく農水省事務次官は、次のように回答している。

 この27号計画というのは、平成元年に定められました農村活性化土地利用構想という仕組みがありまして、これに端を発しているのですが、その当時は、全体的な経済情勢とか、土地利用を巡る情勢から見まして、地域の活性化に資するものは転用を認めるという方向で運用がされておりました。さらに、平成12年には、いわゆる大店法大規模小売店舗立地法の見直しが行われまして、いわゆる郊外型のショッピングセンターを広く設置していくことが、国全体の政策の方向になりました。

 しかし、

 このような政策によりまして、中心市街地の活力が失われまして、かつ優良農地が転用され、スプロールが進んだという反省に立って、平成18年には、まちづくり三法が制定されて、19年の11月に施行されたわけです。ここで、これまでの政策の流れが変わりました。このような政策全体の流れを受けまして、この27号計画は、地域の農業振興を目的としているにもかかわらず、農業振興との関係が不明確なものもあったということで、19年の3月に、農用地区域からの除外、転用と農業振興の関係を明確にするよう通知が出ました。さらに今般、農地の確保を旨とする農地法、農振法の改正案を国会に提出している。

なんともあっさりとした弁明だが、これに対して記者は鋭いツッコミを入れるのかと思いきや、

 これは個別のケースで、たまたま報道されたケースは、見込みは伝えたのはこれは事実、許可される見込みという・・・。

 何を訊きたいのか意味不明。正直、呆れるというか笑ってしまう。