キューバの内閣改造についての報道

キューバ内閣改造 カストロ前議長の側近解任

  朝日新聞09/03/04

【ロサンゼルス=堀内隆】
 ハバナからの情報によると、キューバラウル・カストロ国家評議会議長は2日、内閣改造を行い、カルロス・ラヘ閣僚評議会(内閣)執行委員会書記(57)やフェリペ・ペレス外相(43)を解任した。いずれも兄のフィデル・カストロ前議長の信任が厚く、将来の後継者とも目されてきた人物だ。


 キューバでは国権の最高機関は国家評議会で、閣僚評議会より上位にある。ラヘ氏は国家評議会副議長、ペレス氏は国家評議会メンバーで、発表では2人のこのポストがどうなるかには触れていない。2人がこのポストにとどまれば、閣僚の職を解かれても政権内での位置づけは大きく変わらないとみられる。


 ラヘ氏は90年代、旧ソ連の崩壊で悪化したキューバ経済を立て直すべく、市場経済の要素を一部取り入れるなど改革を進めた立役者。ペレス氏はカストロ前議長の補佐官を経て、99年から外相の地位にある。ともに革命世代の次の世代のリーダーとして注目を集めていた。


 今回の改造の主眼は、「機能的な政府」を目指すラウル氏が、兄を支えた側近にかえて自らの人選で周囲を固め、日々の政策決定の効率を高めることを狙っているとの見方が有力だ。


 ラウル氏は昨年2月の就任時の演説で「より簡素で機能的な構造が求められている」と述べ、政府機関の再編を急ぐ考えを示した。米国の経済制裁に加え、国際的な食糧価格の高騰などでキューバの財政事情は悪化の一途をたどっており、支出を抑えると同時に必要な対策を素早く取る体制を作る狙いだった。


 今回の改造に先立ち、2月には共産党の古参政治局員でもある元内相のラミロ・バルデス氏を閣僚評議会の副議長に任命する人事も発表。ラヘ氏の後任には国防省のホセ・アマド・リカルド官房長が起用されるなど、キューバ革命から半世紀近く国防相を務めたラウル氏が、治安幹部を重用する動きが目立つ。


 ペレス氏の後任には、元国連大使のブルーノ・ロドリゲス第1外務次官をあてた。

キューバ内閣改造 ラウル議長が勢力交代進める

  CNN 2009/03/03 10:50

 キューバラウル・カストロ国家評議会議長は2日、数十年ぶりに内閣改造を実施し、1年前に退任した兄フィデル・カストロ前議長の側近らを解任した。


専門家はラウル氏が長年兄を支えてきた勢力を、自身の支持勢力に差し替える動きだと指摘する。例を挙げると、フィデル氏の側近だったペレス外相は解任され、ロドリゲス第一副大臣が昇格する。エコノミストのカルロス・ラヘ・ダヒラ氏も閣僚職を解かれたが、兼任してきた国家評議会副議長の職位については何も明らかにされていない。


米ワシントンのシンクタンク「国際政策センター」の関係者によると、キューバ内閣改造は革命以来数回にとどまっているが、今回はここ30─40年来で最大規模。ブルックキングズ研究所の客員研究員も1960年代後半以来、こうした動きはなかったと指摘した。


研究員によると、ベネズエラチャベス大統領は先月下旬にハバナを訪問し、フィデル氏とラウル氏の兄弟と会談した。ラウル氏はキューバの石油調達先であるベネズエラチャベス大統領に対し、内閣改造への支持を求めたとみられる。

キューバ、11人の閣僚交代…若手解任・革命世代を登用

  読売新聞2009/03/03 13時04分

ハバナ=小寺以作】
 キューバ政府は2日、27の省庁を25に再編し、閣僚評議会(内閣)のメンバー11人を交代させる大幅な内閣改造を発表した。

 カルロス・ラヘ執行委員会書記(57)やフェリペ・ペレス外相(43)ら、ラウル・カストロ国家評議会議長(77)の後継者と目されていた若手幹部が解任される一方で、ベテラン軍人の起用が目立ち、軍人や革命世代による統治が強まる内容となっている。

 国家評議会(最高指導機関)と共産党政治局が同日決定し、国営放送が報じた。後任の執行委員会書記には、ホセ・リカルド国防省書記長(将軍)が就任、ペレス外相の後任には、ブルーノ・ロドリゲス外務副大臣が昇格した。

 省庁再編では、食料省と漁業省、貿易省と外国投資省がそれぞれ統合された。

内閣改造、相談受けた」 キューバカストロ前議長

  産経新聞2009/03/04 10:29

 キューバフィデル・カストロ国家評議会議長は3日、政府系のウェブサイトに掲載したコラムで、ラウル・カストロ議長が2日実施した内閣改造をめぐり「新任の閣僚について私に相談があった」と述べ、ラウル派がフィデル派に取って代わったなどとする外国メディアの報道を否定した。

 一方で「交代させられた者の大部分は、私が提案したのではない」とも述べ、前議長が主導した人事ではないことも強調した。

 また、ペレス外相を解任し、ラヘ国家評議会副議長を閣僚評議会(内閣)書記職から解いたことに関し、実名は挙げなかったものの「権力のみつが彼らのうちに野心を呼び起こし、それが、ふさわしくない役割を果たさせた」と指摘。事実上の更迭だったことを示唆した。

 前議長は同じコラムで、同国を訪問中のドミニカ共和国のフェルナンデス大統領と2日に会談したことを明らかにした。(共同)

キューバ内閣、大幅改造 議長、人事で独自色か

  共同通信 2009/03/03 07:40

ハバナ2日共同】
キューバの最高指導機関である国家評議会は2日、ペレス外相ら約10人を交代させ、ラヘ副議長を閣僚評議会(内閣)書記から外すほか、省庁を再編する大幅な内閣改造を発表した。フィデル・カストロ国家評議会議長の引退に伴い、ラウル・カストロ議長が昨年2月に就任して以来、最大の内閣改造


 ペレス、ラヘの両氏は前議長が重用した新世代指導者の代表格。議長が人事面で独自色を発揮し始めた可能性もある。


 議長は就任演説で、行政の効率化を目指して行政機関の再編縮小を行う方針を示していた。