リアルな戦国時代像

村人の城・戦国大名の城 (歴史新書y)

村人の城・戦国大名の城 (歴史新書y)

 後北条氏の三代目・氏康の三男である氏照にスポットを当てた新書。
 この本も、「戦国の城は領民にとっての避難場所だった」という藤木久志の研究成果に連なる系譜に位置付けられる。
 こうした研究業績を踏まえつつ、領主と領民との関わりをリアルに捕えることで、英雄中心に描かれがちな既存の歴史小説を超える作品が登場しないものか・・・。
 和田竜の『のぼうの城』は、今までにない“脱英雄中心”歴史小説かもしれない。

のぼうの城

のぼうの城


しかし、個人的には、もっとハードでドロドロとした作風の作品(深沢七郎的なエッセンスとでも言ったらいいのか)を読みたいのだが・・・。

楢山節考 (新潮文庫)

楢山節考 (新潮文庫)

笛吹川 (新潮文庫 ふ 5-2)

笛吹川 (新潮文庫 ふ 5-2)


 それにしても、日本の中世史の研究は藤木久志のものを筆頭に興味深い研究書が続出している。
 『戦国大名と賎民』なんて本も非常に興味深い本だ。

戦国大名と賎民―信長・秀吉・家康と部落形成

戦国大名と賎民―信長・秀吉・家康と部落形成