横浜F・マリノスvs.柏レイソル

 録画映像にて観戦。3-3という結果は既に知っていたし、後半18分に山瀬功治に替えて長谷川アーリアジャスールを投入した後から流れが変わっての逆転負けということも了解済みだったのだが、実際に映像を見て思ったことは、一言、「非常にもったいない試合」だということに尽きる。

采配ミス!

 3点を入れた前半はもちろん、後半開始以降もマリノスが圧倒的にゲームを支配していた。完勝ペースだった。試合をぶち壊してしまったのは、木村監督の采配だった。

 解説の木村和司もアーリア投入に「うーん、どうなんでしょうかねぇ・・・」と采配に疑問の声を上げたように、山瀬功治のコンディションもパーフェクトではないにせよ、恐さは発揮していた。前線でドリブルを仕掛け、隙あらば弾丸ミドルを撃つ。交代直前まで、柏はほとんどボールキープもできなかった状況だったのだから、もう少し交代を待つべきだったのではないか。少なくとも、柏がカードを切るのを待つべきだった。

 木村監督としては、完勝ペースの流れを利用して、開幕戦大敗のショックを引きずっている長谷川アーリアジャスールに自信を植え付けさせたかったのだろうか。だが、その狙いは完全に裏目に出たどころか、より一層、傷口を広げてしまったかもしれない。

 それにしても、木村監督はアーリアに何を期待して投入したのか?アーリアは潰し屋タイプではなく、どちらかと言えばゲームメイカー。ボールキープの流れを維持しつつ、追加点を狙いたいという意図だったのだろう。しかし、交代直後に失点。試合の流れが急激に柏ペースに変わり、中盤を支配できなくなる。兵藤のような運動量豊富な選手がそのまま中盤にいたら良かったのだろうが、残念ながらアーリアはそういうタイプではないし、兵藤は山瀬のポジションだった前線に近い位置に移ってしまっていた。

 ともかく、交代直後の失点が、試合の分岐点だった。木村監督は試合の流れを見極め、交代カードを先に切るべきではなかったのだ。対戦相手を無視した一人相撲、完勝ペースに自信過剰、慢心してしまったとしか思えない采配だった。若手を積極的に起用しながら育成したいという木村監督の思いは理解できるが、目前の試合に勝つことこそ、若手選手にとって何ものにも替えがたい自信になるはずだ。試合終了後の狩野の顔面蒼白とした表情が痛々しかった・・・。

マリノスの希望

 采配ミスばかり書いていてもつまらないので、マリノスの良かった点も指摘しておこう。

  1. 3つの得点シーン以外にも、前半の渡辺千真、後半の兵藤と、ゴールポスト直撃弾があったように、決定的チャンスを数多く作れていた。
  2. シュートのほとんどが枠内を捕らえていた。特に渡辺は実にシュートが正確だと思った。ふかすことがほとんどない。
  3. 狩野の好調ぶり。この試合でも1ゴール、1アシスト。完全にマリノスの中心選手になった感がある。
  4. 兵藤の運動量。前半、中盤でジダンばりのマルセイユ・ルーレットでマークを外し、猛然とドリブルで前線へと駆け上がったシーン、後半のポスト直撃ミドルなど、随所に活躍。今日のように運動量豊富にピッチのあちこちに顔を出すような動きを今後も見たい。

 嫌な流れでドローに終わったとはいえ、才能豊かな若手の活躍はなかなか見ごたえがある。次節は好調の新潟だが、自信をもって闘ってほしい!